身近な病気も遺伝子治療で治す時代に?「ベクター」の安全性がカギ。

遺伝子治療ってどんなもの?

私たちの体を構成しているのは多数の細胞です。その数は30兆を超えますが、その細胞のひとつひとつには遺伝子があります。病気の中には、この遺伝子に異常があることで引き起こされていることが判明しているものがあり、これらの病気の治療として、正常な遺伝子を体内に送り込み、異常な遺伝子の働きを補わせる治療法が遺伝子治療と呼ばれるものです。遺伝子治療では、正常な遺伝子を体内に送り込む際に、無害なウイルスから作られる「ベクター」と呼ばれる遺伝子を運ぶ入れ物を使います。

ベクターの副作用リスク軽減で遺伝子治療が身近に?!

これまで遺伝子治療は治療不可能と言われるような難病で行われてきました。やはり遺伝子治療が行われるようになってからまだ日が浅く、先ほどの「ベクター」の副作用のリスクがあったため、一気に多くの病気について適用できる状況ではなかったのです。しかし、近年の研究の進展で「ベクター」の安全性が高まり、副作用の危険性が大きく減り、身近な病気についても臨床試験を行って実用化しようという動きが急速に高まっています。

アルツハイマー病など身近な病気への実用化は?

これからは特定の難病の患者さんに対する治療だけでなく、アルツハイマー病やパーキンソン病、血友病や皮膚がんなどの比較的身近な病気についても、遺伝子治療の実用化がされていくと予想されます。今はまだ希望者全員が遺伝子治療を受けられる段階ではありませんが、日本国内はもちろんのこと、アメリカ等の海外でも遺伝子治療の研究は大きく進んでおり、遺伝子治療を薬にした新薬の開発も相次いでいます。上に述べた「ベクター」の安全性の向上によって、遺伝子治療の研究、臨床試験は進展し、身近な病気の治療にも実用化される日は近いと期待されます。

遺伝子治療とは、異常をもっている遺伝子を正常な遺伝子に置き換えたり、欠損した遺伝子の機能を補う治療法のことです。